昨日、開幕した注目の舞台。小泉今日子が岩松了演出の「恋する妊婦」に出演。
小泉今日子が東京・渋谷のシアターコクーンで8日に開幕する舞台「恋する妊婦」に主演する。大衆演劇一座の座長の妻で、タイトル通り妊娠8カ月の役どころ。作・演出の岩松了は「掘れば掘るほど宝が出てくる人。彼女が出てくれると、作り手の心もキュッと持ち上がる」と全幅の信頼を寄せる。一方の小泉も「一筋縄ではいかない岩松さんの世界を存分に楽しみたい」と話す。
小泉にとって、岩松作の舞台への出演は3作目。「隠れる女」(00年、岩松演出)と「シブヤから遠く離れて」(04年、蜷川幸雄演出)の前2作では、謎めいた女を演じた。 今回は、一座の座員から「ママ」と呼ばれて慕われる元看板女優の役。座長(風間杜夫)との夫婦仲も表向きは平穏だが、若い座員カップルの駆け落ちがきっかけで、ママの不倫疑惑をはじめ、家族同然に暮らす一座の複雑な男女関係が浮かび上がってくる。
「岩松さんの書くせりふは複数の意味が重ねられていたり、裏の意味があったりして、口にするのが快感。しゃべるうちに嫌な気持ちになっていくのすら楽しい。そんな奥深さがあるんです」と小泉は言う。
「恋する妊婦」は94年に水戸芸術館で初演された。当時、日常をリアルに描く作家と評された岩松が大衆演劇を見歩き、幼いころから芸能にどっぷりつかった「自分とは正反対な人々」を描いた作品だ。 「僕にしては登場人物も多く、派手な作品」という岩松は「初演のときから座長には風間さんがぴったりという声があった。今回、風間さんがあまりにもはまり役なので、小泉さんには本人のイメージからずれた役をやってもらえたら面白いと考えた」と話す。
好意と悪意、執着と無関心。さまざまな感情が乱反射する岩松の劇世界は、演じる俳優にとっても心の迷宮を歩くような浮遊感覚があるらしい。
「ママの役は安定と不安定がじわじわと交互にやってくる。自分の気持ちを揺らしていくと、どこにでもたどり着ける感じ」と小泉が言えば、岩松自身は「例えば『恋』といっても、ときにはそこに殺意すら含まれる。日常やリアルというのはあくまでも表現の器で、そこにある生と死を描いている」と語る。 先月末、役作りのため出演者一同で横浜へ大衆演劇を見に行った。小泉は「行く直前に財布をなくしたんですが、そんなことも忘れるくらい楽しかった。こんな面白い世界に入れるんだとワクワクしています」。
大森南朋、佐藤直子、鈴木砂羽、荒川良々、姜暢雄らが共演。
(2008年02月07日 asahi.comより)
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